寂しげないのしし
筑波山のほうに「東筑波ユートピア」というのがあって、以前から気になっていた。お猿のマジックショーとかやってるらしい。で昨日ちょっと軽い気持ちで行ってみたら筑波山じゃなくてその隣の山の中にあって思った以上に遠く、もっと覚悟を持って行くべきだったと思ったが、その遠さはもしかしたら心理的なものだったかもしれない。筑波山ほどは賑わっていないが、山頂からハンググライダーなどもできるのでそこそこ車が来ている。が、ユートピアのほうはこんな皮肉なネーミングはないというか、なんか久々に人間でいるのが申し訳なくなるようなところだった。ロープに繋がれて同じ場所を往復するだけの猿、小さいケージの中で震えているうさぎ、なぜか一匹だけいるライオン、神経症的に途切れなく鳴き続けている山羊。「竜宮園」と名づけられた小路(山中の斜面。薄暗い。吹きさらし)に並べられた煤けた水槽には、ナマズやどじょうが泳いでいる。犬用リードに繋がれた泥だらけの猪が、ズボンに鼻面を押し付けてくる。どこを見ても寒そうで寂しそう。そのほかすべての施設が「寄せ集め」という言葉を体現していた。
客に背を向ける猿
お猿のマジックショーはかなり笑えたが、調教のお姉さん(明るくけなげでけっこうかわいい子なのがまた哀れ)が必死になって猿に何かやらせようとするのだが猿は完全に興味ない様子で、これは先月くらいまで素人野生の猿だったのではないかと思わされる出来具合。曲芸をする大猿小猿コンビは多少舞台慣れしているようだったがそれでもかなりのマイペースで、舞台の上で次々と漏らし、手でおしりを拭っていたというのに、お姉さんがショーの後「ではこれからお猿さんと握手コーナーがありまーす」と言ったのには耳を疑い、さらにまた喜んで握手しに向かう客らの存在に目を疑った。入場料1000円てマジかよと思ったけど(よくわからない基準で100円割引してくれたが)映画を見るより安く短い時間でさまざまに感情を揺さぶられたことを思うと安いかもしれない。