夫の帰国とともに日常生活も帰ってきた。決まった時間に起き、米や肉を食べ、たくさん洗濯をする、そんな日常が。あとすごい久しぶり(1年以上ぶり)にライターの友達から電話がきて、すごい久しぶりに「企画」とか「版元」とかいう言葉を耳にした。私はいまほとんど専業主婦だと言うと「いいなあ~」とか言われた。そう言われると確かに幸せだなこれは、と思う。今日、夫は代休もとらず元気に会社へ行った。みんな働いている。私は昼寝したりかかとにオロナイン塗ったりする。
定年退職したサラリーマンの理想や思い込みが少しずつ不本意に剥ぎ取られていく映画。山田洋次監督を彷彿とさせる執拗な何でもなさが素晴らしい。美しい人やおしゃれなものはまったく出てこないし、旅の景色は特別美しいわけでもなく、ジーニーのウエディングドレス姿はやぼったい。でもこれが庶民だ。他人に理想を押し付けてはいけない、そのかわり自分も完璧じゃないことを許されている。人は許し合うことでなんとか生きている、許すというのはあきらめるということでもあるけど、あきらめることで手に入るもののほうが実は多いのかもしれない。自分一人が思いつくことには限界があるから、他人には逆らわないで流されてみるべきと思う(と思いつつやっぱりけっこう選んでいる)私には、感じるところが大層多い作品だった。
今週の私は孵卵器のなかのひよこです。家から出たくない。昨日おとといは集中力がなく映画を観ることができなかった。BSのヴィスコンティ特集は終わったし近所のGEOはつぶれたしTUTAYAの会員カード借りとくの忘れたし、まあ撮りためといて観てない映画が山ほどあるからそれを観ればいいんだけど、いつでも観れると思うとどうも手が伸びず、しかたなく本を読んでいる。最近あまり口をきいていないので声を出して。ディケンズの短編集は音読向きである。夫出張中に一度は実家に行けばよかったと後悔している。夫の帰国まであと何日かあるけどもう行く気しないのでお歳暮はネットで手配してしまった。もっと近くに住んでたらなあとも思うけど、隣に住んでたとしても私は変わらないだろうとも思う。今日は白人ファミリーが日本人ファミリーと一緒に隣の公園に来ていたが、いつもと違って妙に静かだ。と思っていたら、ふわふわしたものがうちのベランダの中まで入ってきた。しゃぼんだまだった。