BSの三人娘シリーズをまとめて。
ジャンケン娘(1955年)
ひばり・いづみ・チエミの三人娘もの第一作。舞妓のいづみは華奢でかわいいのだが、豊満な肉体を制服に押し込んだ女子高生・ひばり&チエミは昭和中期のエロ本でよく見る「セーラー服を着たおばさん」にしか見えない。ほっぺと唇がやたらと赤く、大きな顔に構造のわからない髪形をしたひばりは、唇をとがらせて「イヤ、イヤイヤ!」とくねくねした挙句何かっていうとすぐ泣き、そのほっぺたをつついて「泣き虫!」と冷やかすチエミとの関係は同性愛を連想させ見ていると恥ずかしくなる。物語は一見うまくまとまっているようだがひとつひとつのエピソードは不条理で、結局は金持ちのボンが親からせしめた金であっさり問題を解決するという青春映画にあるまじき展開に驚かされたが、三人娘はそのことについて何とも思っていないようだった。どうしてこれがそんなに大ヒットしたのか全然わからないが、アイドル映画というのはそういうものなのかもしれない。ひばりは洋服は似合わないが日本舞踊をやってる姿はかわいかった。いづみは華奢でかわいらしく、歌も一番たくさん歌っていた。チエミの体型は私みたいだ、と思って凹んだ。
ロマンス娘(1956年)
ひばり&チエミが前作「ジャンケン娘」のときよりは女子高生らしく見える。髪型が少しスッキリしたからだろう。第一作のヒットに乗じてか、本作はやたらセットが豪華。前作の色男役は全然知らない人だったが今回は宝田明だし、森繁まで出てきて無意味に歌ったりする。娘らも前作は貧乏臭い設定だったが、本作では場面ごとに違う服を着ておしゃればかりしている。それにしてもいづみたんは何を着てもかわいい。ひばりは和服だとかわいい。チエミは何を着てもジャイ子だ。物語は、前作はいづみの恋のために奔走するという明快な中心点があったが、本作の中心事件は娘らとは直接関係ないところ(宝田明んちの問題)にあるせいか、わりとどうでもいいやと個人的には思え、散漫な印象を持った。いろんな意味で「パート2」ぽい作品だ。遊園地のシーンが無駄に長く、おばけ屋敷のおばけの手作り感あふれる造形がすばらしかった。いづみは前作もそうだったが本作でも家庭にワケありな役(&体の線を見せる役)で、チエミはジャイ子、ひばりはあまり個性がないというか落ち着いている。脇役ほど仕事量が多く、主人公は一番無垢で無個性なもの、と考えるとやっぱり三人娘のメインはひばりなんだな。